35kmの壁 ― 初マラソンで学んだペース配分の重要性

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今でも、35km地点の景色は忘れられません。

7か月間積み重ねた練習の成果を試すため、人生初のフルマラソン「丹波篠山ABCマラソン」に挑戦しました。 目標はサブ3.5(3時間30分切り)。 しかし、結果は35kmで脚が止まり、歩きながらゴールを目指すことになりました。

当時は「なぜ失速したのか」が分かりませんでした。 ですが、レース後にGarminのデータを見返し、自分の走りを振り返ることで、その原因が少しずつ見えてきました。

この記事では、初マラソンで経験した35kmの壁と、その失敗から学んだことをお伝えします。 これから初マラソンに挑戦する方や、「35km以降で失速したくない」と考えている方の参考になれば嬉しいです。

7か月の練習を経て迎えた本番

2025年3月2日。 ついに人生初のフルマラソン、「丹波篠山ABCマラソン」の当日を迎えました。

約7か月前、2.95kmしか走れなかった自分が、「42.195kmを走り切る」という目標を掲げ、少しずつ距離を伸ばしながら練習を続けてきました。 30分走ることを目標に始めたランニングが、やがて60分、90分、そして30km走へ。

決して順調だったわけではありません。 暑さで思うように走れない日もあれば、脚が重くて途中で心が折れそうになった日もありました。 それでも、「初マラソンでサブ3.5を達成したい」という目標だけは変わりませんでした。

迎えたレース当日の朝。 カーテンを開けると、外は雨。 これまで雨の中で走ることはほとんどなく、雨のレースも初めてでした。

いつもなら大会当日に感じるワクワクした気持ちよりも、

今日は本当に走り切れるだろうか。

そんな不安の方が大きかったことを今でも覚えています。 さらに、7か月間積み重ねてきた疲労が少し残っているような感覚もあり、体は決して軽くありませんでした。

それでも、この日のために積み重ねてきた練習を信じるしかありません。 スタートラインに立ち、号砲の瞬間を待ちました。

なぜオーバーペースになったのか

レース前、同じ時期にランニングを始めた会社の同僚が、初マラソンで3時間30分を切ったことを知っていました。

「自分も負けたくない。」 「自分にもできるはずだ。」

そんな気持ちが、知らないうちに心の中に生まれていました。

本来なら比べるべき相手は他人ではなく、これまで練習を積み重ねてきた自分自身です。 しかし、スタートすると周りのランナーの流れに自然と乗ってしまい、気付けば予定より速いペースで走っていました。 しかも、その時は速すぎるとは感じていませんでした。

「今日は調子がいい。」 「このペースなら最後まで行ける。」

そう思っていたのです。 今振り返れば、それが一番危険な勘違いでした。 レース序盤はアドレナリンの影響もあり、普段より楽に走れてしまいます。 だからこそ、自分の実力以上のペースでも「余裕がある」と錯覚してしまうのです。 当時の私は、そのことを知りませんでした。

レース結果

大会丹波篠山ABCマラソン
距離42.48km
タイム4時間17分49秒
平均ペース6分04秒/km
平均心拍数170bpm

初めて42.195kmを完走できたことは、本当に嬉しいことでした。 しかし、Garminのデータを見返すと、失速した理由が数字としてはっきり残っていました。

レース後半の失速

ラップタイムが物語るオーバーペース

スタート直後からのラップを見ると、序盤は5分前後のペースで走り続けています。

10kmを過ぎてもペースはほとんど落ちませんでした。 25km地点までは、「今日は最後までこのまま行ける。」と本気で思っていました。 しかし今振り返ると、それは自分の実力を超えたペースでした。 前半で使い過ぎた体力は、35km以降に一気に返ってくることになります。

25kmから少しずつ異変が始まる

異変を感じ始めたのは25km付近でした。 最初は右ふくらはぎに軽い張りを感じただけでした。

少し疲れてきただけだろう。

そう思い、そのまま走り続けました。 ところが数km進むと、今度は左前もも。 さらに右前もも。 最後には左ふくらはぎ。 まるで順番に脚が悲鳴を上げるように、次々と攣り始めたのです。 ラップタイムも少しずつ落ち始めました。

まだ走れていました。 でも、自分でも分かるほど脚は確実に限界へ向かっていました。 そして34kmを過ぎた頃、ついにその時が訪れます。 脚が完全に攣り、その場で立ち止まってしまいました。

35kmで脚が止まった

34kmを過ぎた頃。 ついに脚が完全に攣ってしまいました。 34kmのラップは8分33秒。 35kmでは10分13秒。

それまで何とか走り続けていましたが、もう思うように前へ進めません。 給水所で立ち止まり、スポーツドリンクを飲み、脚を伸ばします。

これで少しは走れるだろう。

そう思って再び走り出します。 しかし、数十メートルも進まないうちに、また脚が攣る。 止まる。 歩く。 また少し走る。 そして、また攣る。 この繰り返しでした。

Garminの記録を見ると、この日のウォーク時間は19分42秒。 それまで積み重ねてきた7か月間の練習を思い返すと、悔しさでいっぱいになりました。

もう走れないかもしれない。

そんな考えが何度も頭をよぎります。 それでも、不思議とリタイアだけは考えませんでした。 頭の中にあったのは、ただ一つ。

歩いてでも、絶対にゴールする。

その思いだけを支えに、一歩ずつ前へ進み続けました。

Garminのデータが教えてくれたこと

レース後、Garmin Connectでデータを見返して驚きました。 平均心拍数は170bpm。 さらに、心拍ゾーン5(173bpm以上)には2時間32分も滞在していました。

当時の私は心拍数の意味をよく理解していませんでした。 しかし今なら分かります。 ゾーン5は、長時間維持するような強度ではありません。 つまり私は、フルマラソンの半分以上を、自分の限界に近い強度で走り続けていたことになります。

「今日は調子が良かった」のではなく、最初から飛ばし過ぎていただけだったのです。 Garminのデータは、感覚では気付けなかったオーバーペースを数字ではっきり教えてくれました。

ゴールした瞬間

ようやくゴールゲートが見えました。 長かった42.195km。 ゴールした瞬間、最初に思ったことは、

「やっと終わった。」

その一言でした。 サブ3.5は達成できなかった。 35kmでは歩いてしまった。 最後まで走り切れなかった。 悔しさばかりが残るレースでした。

それでも、人生で初めて42.195kmを自分の足で完走できたことだけは、素直に嬉しかったことを覚えています。 あの日のゴールは、決して理想のゴールではありませんでした。 でも、今振り返ると、ランナーとして成長するためのスタートラインだったと思っています。

この経験が次の挑戦につながった

このレースは、自分にたくさんのことを教えてくれました。

  • 周りのペースに流されないこと
  • 前半は余裕を持って走ること
  • 35km以降も動ける脚を作ること
  • Garminなどのデータを活用して客観的に振り返ること

そして何より感じたのは、平地ばかりの練習では35km以降の脚は作れないということでした。 このレースをきっかけに、私は峠走(坂道トレーニング)を積極的に取り入れるようになりました。 坂道で脚づくりを続けたことが、その後のウルトラマラソン完走や、自己ベスト更新へとつながっていきます。

35kmで脚が止まった悔しさは、決して無駄ではありませんでした。 あの日の失敗があったからこそ、「もっと強くなりたい」と思えたのです。

まとめ

2.95kmしか走れなかった自分が、7か月後には42.195kmを完走することができました。

理想どおりのレースではありませんでした。 35kmで脚が止まり、歩きながらゴールすることになりました。 それでも最後まで諦めずに完走できたことは、今でも大きな財産です。

もし今、初マラソンに挑戦しようとしている方がいるなら、一つだけ伝えたいことがあります。

「周りではなく、自分のペースで走ってください。」

スタート直後は誰でも元気です。 だからこそ、つい速く走ってしまいます。 でも、本当の勝負は30kmを過ぎてから。 35kmの壁は、才能ではなく、ペース配分と日々の積み重ねで乗り越えられるものだと、私はこのレースで学びました。

「2kmから100kmへ」。 私の挑戦は、このフルマラソンで終わったわけではありません。 この悔しさを新たなスタートラインにして、次は100kmという大きな挑戦へ進んでいきます。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。 この記事が、これからフルマラソンに挑戦する方や、35kmの壁に悩んでいる方の力になれば嬉しいです。

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